フォワード日和

投稿日時:2016/12/04(日) 21:20

今年僕は鼻を三回折った。
他のどこの骨も折らなかったが鼻だけ折った。
軟骨ではなく普通の骨の部分(鼻骨)もポッキリ折った。
処置後が痛々しい(通称メタグロス)ことで知られる鼻の整復であるが、今回はそれを記憶に新しい三回目の骨折をベースに書こうと思う。

まずCTを撮る。これによって鼻の断面を見る。
形成の先生に「年内に(鼻の)画像が三枚もある人なんていないよ」と笑われた。
骨折線は一回目と二回目がほぼ同じ、三回目はほぼ同じかつ新しい場所にまで骨折線ができていた。
だいたい他の部位では「折れると強くなる」というのが専らな気もするが、鼻はそうでもないらしい。

さて整復本番である。
耳鼻科で受けたときは椅子に、救急で形成の先生に診てもらった時はベッドに寝かされた。
主な流れは「麻酔→整復→ガーゼ詰めとプロテクター作り」だ。
まず麻酔。麻酔薬のついたガーゼの紙縒り又は綿棒を鼻腔の「奥」に突っ込む。

正直これが一番痛い気がする。

予想を遥かに超えた深さまで突っ込まれる。
脳天に突き抜ける激痛。
異物による圧倒的違和感。
半年ほど前に解剖学を学んでしまったせいで脳内に断面図がフラッシュバックしたものである。
三回目に関しては骨がバッキバキに折れていたせいで綿棒が突っ込まれた瞬間骨板が動いたのを感じてしまった。
しかもえらく勢いよく突っ込むのである。
確かにのろのろと入れた方が痛い時間が長いので困るのだが、不意打ちを喰らって思わず叫んでしまったァッー。
「外から注射しましょうか」「いいねえ」
というテンポの良い会話から外からの注射も決定。
息つく暇もなくズブリ、もう何でもこいである。

骨折して形が崩れているものを整える。
鼻骨はアーチ状なため、陥没している場合は「下から持ち上げる」必要がある。

麻酔付き綿棒を引き抜かれ、入れられた時とは異なる鈍い痛みを感じて麻酔の効きを体感する。
ここで取り出されたのは銀に輝く大きなペンチ的何かである。
そう、「下から持ち上げる」ために骨をこの道具でつかみ、引っ張り上げるのである!
麻酔がかかっているとはいえ痛いものは痛い。
両の拳を固く握り、激しい鈍痛を堪える。
涙が溢れるが構っている場合ではない。
鼻の中心線を整えるため牛の鼻輪のようにペンチがつかむ。
南無三!激しく右へ引っ張られた!

整復が終わると久方ぶりの新鮮な空気が鼻腔を突き抜けていく。
まるでタイガーバームを鼻の下に塗った時のような爽快感に安心を覚える。
「まあすぐ埋めるんですけどね(笑)」
鼻の爽快感を伝えた瞬間にこの仕打ちはひどいんじゃないかな。
形が整ったとはいえ骨はかなり不安定な状態。
アーチの形を保つためにはやはり下からの支えが必要なのである。
そこで、薄手のガーゼを鼻腔にまた突っ込み、支えとする。
ガーゼの紙縒りがまたありえない深さまで突っ込まれていく。
先ほどの爽快感は跡形もなく消え去り、鼻呼吸は完全に封印されてしまうのであった。
外からはプラスチック製のカバー(鼻ギプス)を装着してもらう。
ホワイトテープで顔面に大きくバツ印を作って固定し、処置完了となる。

この鼻栓状態では完全に口呼吸になってしまうため、とても口が乾く。
また紙縒りが変な所に障っていると無限に鼻水が垂れてくるためとても汚い。
食事の際気味が悪くても許していただきたい。
そもそも鼻から空気が抜けないため食事は大変である。
まず味がさっぱりわからない。
何を食べても無味乾燥。辛味だけは痛覚なので辛さだけが増幅されてとても辛い。
咀嚼時には呼吸を止めなければならない。下手してたくさん頬張ろうものなら酸欠待ったなしだ。
嚥下の瞬間(特にスープ類)では耳から空気が抜けることもある。
多少食べるのがノロマでも許してほしい。多くの困難と闘った結果なのだ。

ただ今になって鼻で済んでよかったとは思っている。
鼻は顔の中心であり、少しずれていたら目に届いてしまう。
まだ治る見込みのある怪我で済んで本当に幸運だった。
来期はどこの骨も折らずにシーズンを終えたいものである。


※この処置はあくまで一例です






















追記:敵にやられるのはまだ許せますが味方に蹴られるのは納得いきませんよ。
    だからラック内のボール蹴っちゃうんじゃないかなあ。

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